「育児の百科」を卒業します
はじめまして。
このブログは、元々児童書・絵本好きな一人のワーキングマザーが個人的にビビッときた本を紹介するブログです。
「子供に本を選ぶ」という大義名分を得て児童書コーナーに入り浸るようになったものの、今では「子が読むか読まないかではない、私が好きかどうかだ」というスタンスで思う存分好きな本を購入し、楽しんでいます。
ということで、「親(私)の好きな本」「子供受けがよかった本」が入り混じった形になりますが、よろしければお付き合いくださいませ。
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さて、3月といえば卒業。
変わりばえのしない生活を送る私ですが、この度、一冊の育児書を卒業しました。
7年前子どもを出産したとき、とある方に「前は出産祝いに必ず『育児の百科』贈ってたんだけどね、絶版だからね~」と言われて気になって、古本屋を回って200円くらいで購入しました。
私が手に入れたのはハードカバー箱入りのものですが、現在は文庫(全3冊)で流通しています。
初めての育児、不安で不安で、色々な育児書を買ったり借りたりして読んでは憂鬱になっていた頃でした。
大抵の育児書は親には厳しいので、「そんなまめにできたら苦労せんわ・・・」となることが多いのですが、「育児の百科」は親にも子にも優しいのです。
当時、夜まとまって寝ない子どもを持った私は疲れきっており、離乳食が始まる頃は絶望しかなかったのですが、「離乳への道はひとつではない」という章を読んで心が軽くなったのでした。
(特別な料理は必要ない、大人の料理から赤ちゃんの食べられるものを取り分けるというような内容。離乳食に何時間もかけるより、赤ちゃんを外へ連れて行こうと書かれています)
一冊を通して読むと、赤ちゃん(子ども)も一人の個性を持った人間である、というスタンスが貫かれていることがわかります。
大人だって好き嫌いがあるのだから、子どもに好き嫌いがあって何が悪いのか、とか。
ごはんを食べてくれないと悩む母親に、「小食でも人間の生活は、何のさしさわりもない」とか。確かに言われてみればそうだよなあ、と思うのです。
一歳のお誕生日の章である「お誕生日ばんざい」は、泣ける名文なのですべての一歳児の親御さんに読んでほしい。母子手帳の付録にしたらどうかと心から思います。
おちつきのない子は「活発で創造的な活動家」、ききわけのない子は「自己主張が強く個性的で、情動が抑えられるようになるとおもしろい人物になる」、感じやすい子は「世界を美しくしてくれるのは、そういう人だ」・・・
ふだんはなかなかそうは考えられなくても、時々松田先生の言葉を思い出して支えられることも多いです。
そんなふうに褒められることって、まずないですもんね。
「育児の百科」は小学校入学くらいまででほぼ終わりなのですが、改めてぱらぱらめくって読み返すと、それぞれの年齢の子どものいきいきした様子が写真とともに描かれています。
小さいけれどひとりの人間である子どもを尊重し、愛してきた松田先生の心が伝わってくるような読み物だなあと思うのでした。
松田先生、悩み事があって「育児の百科」を開くたびに「私のこと見てたのかな?」と思うほど的確で、心から納得できる回答をたくさん書いてくださってありがとうございました。
新書の「私は赤ちゃん」「私は二歳」も面白いので是非。